SHARE
SHARE
ウェルビーイング経営とは?実施するメリットや事例について解説
ウェルビーイング |
近年、ウェルビーイング経営という経営の考え方が注目を集めています。本記事では、企業価値の向上や従業員のエンゲージメント向上につながる、ウェルビーイング経営の概要や実施するメリットなどについて解説します。ウェルビーイング経営の概要を知りたい人は、参考にしてください。
目次
ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイング経営とは、自社の利益を追求するだけではなく、経営に関わる関係者全員の幸せを追求する経営のことです。「全てのステークホルダーの幸福を追求するための経営手法」といった、広義の意味で使われることもあります。
ステークホルダーには、従業員や組織全体、消費者、地域社会などが含まれます。ウェルビーイング経営は、従業員の満足度や企業へのエンゲージメントの向上につながる取り組みです。
h3:ウェルビーイングとは
ウェルビーイングとは、精神・肉体の健康と社会的な健康を意味する概念を指す言葉です。世界保健機関(WHO)は、ウェルビーイングを以下のように定義しています。
Health is a state of complete physical, mental, and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
(健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます)。
引用:
健康経営との違い
健康経営とは、従業員の健康状態の把握・管理・改善を目的とする経営のことです。ウェルビーイング経営と健康経営は共通する要素を多く持ちますが、健康経営はどちらかというと企業目線でのアプローチが強く、企業が従業員の健康管理を通して業績の向上を図ることが主たる目的です。
対して、ウェルビーイング経営は従業員の目線を意識した経営の考え方であり、心身の健康にとどまらず、個々の従業員が自身の幸福や自己実現を達成できる環境づくりを重視している点が特徴です。
人的資本経営とウェルビーイングの関係性
人的資本経営とは、企業を支える従業員のスキルや知識を「資本」として考え、その価値を最大限に高めていくことによって、企業自体の価値向上を図っていく経営手法です。人的資本経営では、従業員のウェルビーイングや所属企業および仕事へのエンゲージメントが重要指標とされています。その影響もあり、ウェルビーイング経営が注目を集めるようになりました。
ウェルビーイング経営が求められる背景
ここでは、ウェルビーイング経営が求められる背景について解説します。
労働力人口減少による人材不足
ウェルビーイング経営が求められる理由の1つは、労働力人口減少による人材不足です。
日本では、少子高齢化に伴い労働人口が減少しているため、多くの企業が人材不足に直面しています。また、転職が珍しいものでは無くなり、雇用の流動化が進んでいる点も課題といえるでしょう。この状況下では、従業員が働きがいを感じられるよう、精神的にも豊かな状態でいられるような環境を作る必要があります。
労働環境の変化
現代社会では価値観の多様化が進んでおり、従業員の価値観や状況にあわせた柔軟な働き方の提示が求められています。ワークライフバランスを実現することの重要性が理解されるようになり、また、時間や場所にとらわれない働き方を希望する人も増加傾向にあります。このような時代の変化を受け、企業にはウェルビーイング経営を通して変化に対応することが求められています。
SDGsへの意識の高まり
ウェルビーイング経営が求められる背景として、SDGsへの意識が高まっていることも挙げられます。SDGsとは、2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すことを目的として、2015年9月の国連サミットで採択された、全17のゴールからなる国際目標を指す言葉です。
3つ目の目標である「すべての人に健康と福祉を」や8つ目の目標である「働きがいも経済成長も」がウェルビーイング経営に関係する内容となっています。つまり、ウェルビーイング経営に取り組むことで、SDGs実現に向けて企業活動をしていることを、アピールすることに繋がります。
ウェルビーイング経営に関わる幸福の要素
ここでは、ウェルビーイング経営における重要要素についての考え方を解説します。
PERMAモデルによる5つの要素
PERMAモデルは、2011年にマーティン・セリグマン博士によって発表された考え方です。同モデルでは、人が持続的な幸福を感じるためには、以下の5つの要素を満たす必要があると説明しています。
・Positive emotion(ポジティブ・エモーション):意欲を持って取り組んでいる
・Engagement(エンゲージメント):時間を忘れて物事に没頭したり夢中になったりしている
・Relationship(リレーションシップ):他者と良好な関係性を築いている
・Meaning(ミーニング):人生に意味や意義を見出している
・Accomplishment(アチーブメント):目標や夢を達成している
Gallup社による5つの要素
アメリカのリサーチ会社であるGallup社によると、ウェルビーイングは以下の5つの要素で構成されています。
・Career Wellbeing(キャリア・ウェルビーイング):仕事による幸福
・Social Wellbeing(ソーシャル・ウェルビーイング):良好な人間関係による幸福
・Community Wellbeing(コミュニティ・ウェルビーイング):所属コミュニティによる幸福
・Physical Wellbeing(フィジカル・ウェルビーイング):身体的な幸福
・Financial Wellbeing(ファイナンシャル・ウェルビーイング):経済的な幸福
ウェルビーイング経営を進める際には、上記の要素を意識した施策に取り組むとよいでしょう。
ウェルビーイング経営のメリット
ここでは、ウェルビーイング経営のメリットについて解説します。
離職率が低下する
ウェルビーイング経営のメリットの1つは、離職率が低下することです。従業員が退職する理由として、人間関係の問題や労働時間が多いといったことが挙げられます。従業員の幸福度や満足度が高くなる取り組みを行えば、職場への愛着心が強くなり離職防止につながります。従業員の帰属意識が強くなれば、採用活動にもプラスに働くでしょう。
生産性・企業価値が向上する
生産性・企業価値が向上する点もウェルビーイング経営のメリットの1つです。従業員のストレスを軽減し、幸福度が高まる職場環境を構築することで、会社への貢献欲求や自発性が高まり、生産性の向上につなげることが可能です。
従業員のモチベーションが高まる
従業員のモチベーションが高まる点もメリットとして挙げられます。職場の人間関係、労働環境がよいと、仕事に対するモチベーションにもよい影響を与えます。やりがいを持って仕事に打ち込めるようになるため、パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
ウェルビーイング経営への取り組み方
ここでは、ウェルビーイング経営への取り組み方について解説します。
労働環境の整備
ウェルビーイング経営に取り組む際は、労働環境の整備を意識しましょう。従業員の幸福度を高めるには、労働環境の整備が欠かせません。具体的な取り組み方法としては、柔軟な働き方の推進や長時間労働の改善などが挙げられます。長時間労働や休日出勤などが常態化している場合には、早急に是正しましょう。
社内コミュニケーションを活性化させる
社内コミュニケーションの活性化もウェルビーイング経営に取り組む上での重要な要素です。社内の人間関係や職場の雰囲気に問題があると、従業員がストレスを感じたり、生産性の低下につながったりするおそれがあります。従業員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を整えると、社内の風通しがよくなるでしょう。
従業員サーベイの実施
ウェルビーイング経営を始めようとするなら、従業員サーベイを実施しましょう。従業員サーベイを実施すると、従業員が会社に対して何を求めていて、どういう不満を持っているのかを可視化できます。従業員の声を拾い上げ、施策に反映することが重要です。経営者視点のみで改善策を検討するのではなく、従業員の声を反映させた施策を打つよう意識しましょう。
福利厚生を充実させる
福利厚生の充実も、ウェルビーイング経営を実践するうえで効果的です。福利厚生を充実させると、従業員の満足度が向上します。取り組みの例としては、スポーツジムの割引券配布や保養所の宿泊チケット配布、ランチ費用の補助などが挙げられます。プライベートの充実をサポートし、従業員が英気を養えるよう工夫しましょう。
ウェルビーイング経営を実施する際の注意点
ここでは、ウェルビーイング経営を実施する際の注意点について解説します。
目標の達成基準を明確にする
ウェルビーイング経営を実施する際には、目標や達成基準を明確にしましょう。達成基準を明確にしないままウェルビーイング経営を進めると、施策の効果を正しく比較・評価できず、成功の判断があいまいになってしまいます。自社の人材戦略や人材活用の課題と照らし合わせ、目的や達成基準を明確にするとよいでしょう。
また、ウェルビーイング経営に着手するタイミングで、経営理念を再構築し、社内に浸透させる取り組みも効果的です。
コストが発生する
ウェルビーイング経営を進めるためには、相応の費用を投じなければなりません。しかし、従業員のウェルビーイングを高めるために必要なコストは、「投資」と考えることが大切です。長期的な目線を持ち、自社にとって何が大切なのかを十分に見極めましょう。
ウェルビーイング経営に取り組んでいる企業の例
ここでは、ウェルビーイング経営に取り組んでいる企業の例を紹介します。
積水ハウス株式会社
ウェルビーイング経営に取り組んでいる企業の1つは、積水ハウス株式会社です。同社は、「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」というビジョンを掲げ、さまざまな取り組みを進めています。
具体的な取り組みとしては、2020年11月に全従業員約27,000名を対象として、「幸せ度調査」を実施しました。従業員と職場の「幸せ」を見える化したうえで、調査結果をもとに対話やワークショップを実施し、イノベーションが起きやすい職場風土をつくろうとしています。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社も、ウェルビーイングに取り組んでいる会社の1つです。同グループは、グループ全体で健康・安全・ウェルネス経営の推進体制を構築しています。たとえば、サービスやデータといったグループ独自の強みを活かして、政府や教育機関、病院と連携し、従業員の心身の健康を守る取り組みを行っています。
まとめ
ウェルビーイング経営は、従業員のモチベーションやパフォーマンスを高めるために有効な取り組みです。まずは自社でどのような施策を打てるのかを十分に検討しましょう。
ウェルビーイング経営を進めるためには、従業員が抱えているお金の悩みを解決することも有効です。オンアドは従業員のお金の悩み解決や金融リテラシーの向上を通じて、企業のウェルビーイング経営を支援する「お金の福利厚生サービス」を提供しています。ご関心をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
この記事を監修した人

株式会社オンアド
株式会社オンアドは野村ホールディングス、千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行の4社により設立された投資助言会社です。「すべての人が最善のアドバイスにより、理想の未来をかたちにする」というビジョンのもと、商品販売を一切行わず、アドバイスに特化した新しい金融サービスをオンライン完結でご提供します。

この記事を監修した人
株式会社オンアド
株式会社オンアドは野村ホールディングス、千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行の4社により設立された投資助言会社です。「すべての人が最善のアドバイスにより、理想の未来をかたちにする」というビジョンのもと、商品販売を一切行わず、アドバイスに特化した新しい金融サービスをオンライン完結でご提供します。