生産性向上の6つのメリット|効果的にメリットを得るコツや注意点も解説

生産性向上 |

企業の存続・成長には、従業員の生産性の向上が重要とされています。しかし、生産性の向上で具体的にどのようなメリットを得られるのか、理解しきれていない人もいるのではないでしょうか。

本記事では、生産性向上が重視される理由や、企業にとってのメリット、効果的にメリットを得るコツなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

そもそも「生産性」とは

そもそも生産性とは、モノやサービスを生産する際に、少ない資源でどれだけの成果を生み出せたかを表すものです。資源には、時間や労働力、設備などが含まれます。つまり、生産性が高い状態とは、「少ないインプットで多くのアウトプットを出せる状態」と、言い換えることができるでしょう。

生産性向上と業務効率化の違い

生産性向上と業務効率化が混同されることは少なくありません。しかし厳密にいうと、生産性向上と業務効率化の概念は少し異なります。

それぞれの違いは、以下のとおりです。

・生産性向上:資源の縮小または成果の拡大を図り、小さなインプットで大きなアウトプットを得られるようにすること

・業務効率化:隠れたムダやムラを発見し、非効率な業務を見直して改善すること

ビジネスにおける生産性

ビジネスにおける生産性は、労働生産性を意味する場合がほとんどです。労働生産性とは、従業員1人あたりが生み出す付加価値のことを指します。

労働生産性は3種類に分類される

ビジネスで重視される労働生産性には、次の3つの種類があります。

・付加価値労働生産性

・物的労働生産性

・全要素生産性

それぞれの違いや計算方法については、以下で詳しく解説します。

1.付加価値労働生産性

付加価値労働生産性とは、従業員1人あたりが生み出す付加価値を表す指標です。ここでいう付加価値とは、売上-原価で導き出される粗利を指します。

計算式は、以下のとおりです。

付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量

2.物的労働生産性

物的労働生産性とは、従業員1人あたりが生み出す物的な成果を表す指標です。ここでいう成果とは、主に生産物を指します。

計算式は、以下のとおりです。

物的労働生産性=生産量÷労働量

3.全要素生産性

全要素生産性とは、資本や労働、原材料に加えて、工学的な技術革新やブランド戦略、経営戦略などを全要素的に考慮して生産性を測定する考え方を意味します。

計算式は、以下のとおりです。

全要素生産性=生産量÷合成投入量(労働量、原材料など)

ビジネスにおいて生産性向上が重視される背景

ビジネスにおいて生産性向上が重視される背景には、次のような理由があります。

労働人口減少の深刻化

日本では少子高齢化に伴い、労働人口の減少が深刻化しています。さらに、都市部への人口流出や、業界ごとの人気の偏りにより、労働力不足に悩む企業は少なくありません。このように労働人口の減少が加速しつつある中、限られた人的リソースで大きな成果を得るためには、生産性向上の取り組みが重要と考えられます。

国際競争力の低迷

主要先進国のなかで比較すると、日本の国際競争力は低迷しています。たとえば、スイスのビジネススクール「IMD」によると、日本は国際競争力ランキングで64ヵ国・地域中35位です。このような状況のなか、日本企業が世界で戦ううえで国際競争力を高めるためには、生産性向上が必須といえます。

※参照:IMD世界競争力ランキング|IMD

日本は他国と比べて生産性が低い?

公益財団法人 日本生産性本部によると、日本の1人あたりの労働生産性はOECD加盟38か国中31位です。時間当たり労働生産性についても、OECD加盟38か国中30位という結果になっています。これは、1970年以降で最も低い順位です。

※参照:労働生産性の国際比較2023|公益財団法人 日本生産性本部

日本の生産性は「横ばい」の状態が続いている

日本生産性本部の調査によると、2022年度の従業員1人あたりの名目労働生産性は、2年連続で上昇しているものの、全体で見るとほぼ横ばいの状態が続いています。日本全体の生産性は横ばいで推移しているからこそ、企業として生産性の向上に取り組めば、他社に差をつけることにつながると考えられるでしょう。

※参照:日本の労働生産性の動向 2023|公益財団法人 日本生産性本部

生産性向上を促す6つのメリット

生産性の向上を促すと、次のようなメリットを期待できます。

・人手不足の解消につながる

・競争力を高められる

・ワークライフバランスを改善できる

・コスト削減を実現できる

・働き方改革を推進できる

・優秀な人材の確保につながる

それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。

1.人手不足の解消につながる

1人あたりの生産性が向上すれば、少ない人数でより多くの成果を得られるようになります。人員補充が難しい場合でも、今ある人的リソースを最大限活用することで、人手不足の解消につながるでしょう。

2.競争力を高められる

生産性の向上は、企業としての競争力を高め、他社に差をつけることにもつながります。たとえば、競合他社よりも高い生産性を維持できれば、製品の低価格化やスピード感のある市場投入が可能です。

3.ワークライフバランスを改善できる

生産性が向上すれば、従業員はより短時間で仕事を終えられるようになります。すると、結果的に長時間労働の是正につながり、ワークライフバランスを改善しやすくなるでしょう。

4.コスト削減を実現できる

人件費や工数、原材料費などのコストを削減する効果も期待できます。削減したコストを投資に回すことで、さらなる生産性向上や企業としての成長につなげることが可能です。

5.働き方改革を推進できる

ここまで紹介したメリットは、働き方改革の実現につながるものばかりです。生産性の向上に取り組むことで、従業員にとってもより働きやすい環境を提供できるようになるため、結果的に働き方改革の促進につながります。

6.優秀な人材の確保につながる

「ワークライフバランスの改善」や「働き方改革の実現」は、採用時の魅力づけにもなり、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。企業の価値や競争力が高まり、認知度が向上すれば、より多様な人材を確保できるようになるでしょう。

生産性を向上させるデメリットはある?

生産性を向上させるデメリットは、基本的にはありません。しかし、誤った施策に取り組むことで、さまざまなリスクが発生する恐れがあります。たとえば生産性の高い従業員に多くの仕事を任せると、不在時に全体の生産性が下がる可能性があるでしょう。また、コスト削減や人員削減に走りすぎると、従業員のモチベーションが低下し、かえって生産性が下がる恐れもあるため注意が必要です。

生産性向上のメリットを効果的に得るコツ

生産性向上のメリットを効果的に得るためには、次のポイントに気を付けることが大切です。

・自社の理念を振り返る

・KPIを設定する

・業務効率化にも取り組む

・情報共有の体制を整える

・PDCAを回し、長期的な視点で取り組む

それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。

自社の理念を振り返る

生産性の向上に取り組むにあたっては、自社の事業コンセプトを確立し、そのコンセプトに合った施策を実施することが重要です。自社のビジョンを今一度振り返り、「誰に」「なにを」「どのように」提供するのかを考えながら、事業コンセプトを再構築しましょう。

KPIを設定する

数値化やデータ化が可能な具体的な目標を立てると、より効果的な施策を立案できるようになります。前述の付加価値労働生産性や物的労働生産性、全要素生産性など、数値化可能な指標を用いてKPIを設定しましょう。

業務効率化にも取り組む

前述のとおり、生産性向上と業務効率化はそれぞれ別々の概念です。一方で、生産性を高めるためには、日々の業務のなかに潜む「ムダ」をなくすことも重要な施策となります。生産性向上の施策と平行して、非効率な業務はないか、まとめられる業務はないかなど、一度振り返ってみるとよいでしょう。

情報共有の体制を整える

情報共有の仕組みが整備されていないことが、従業員の生産性を低下させているケースもあります。これまでの管理方法を見直し、情報をリアルタイムで共有できるようなツールを導入するとよいでしょう。

PDCAを回し、長期的な視点で取り組む

生産性向上の施策を行っても、すぐに効果が現れるわけではありません。なかなか効果が現れなくても、慌てることなく落ち着いてPDCAサイクルを回していきましょう。長期的な目標を立て、改善を繰り返しながら、少しずつ生産性を向上させていくことが大切です。

生産性の向上に取り組む際の注意点

生産性の向上に取り組む際には、次のポイントに注意しましょう。

従業員の負担増に配慮する

生産性を向上させようとするあまり、従業員にマルチタスクや長時間労働を強いると、かえって生産性が低下する恐れがあります。従業員の負担増に配慮したうえで、一時的ではなく、継続的に生産性を高められる施策を実施しましょう。

多様な働き方に対応する

さまざまな働き方に対応すれば、多様なバックグラウンドを持つ人材を活用できる可能性が高まります。テレワークやフレックスタイム制など、幅広い働き方を導入し、多様な人材が活躍できる環境を構築しましょう。人事評価システムや給与体系にメスを入れ、評価の納得感を上げることも重要です。

必要な投資を惜しまない

生産性向上につながるシステムやツールを導入するためには、初期費用がかかります。しかし、生産性の向上はコスト削減にもつながるため、将来的に費用を回収できる可能性は十分あります。助成金なども活用しつつ、必要な投資は惜しまないことが重要です。

まとめ

生産性の向上は、企業にとっても、従業員にとっても多くのメリットをもたらします。日本は他国と比べて生産性が低いとされているからこそ、生産性の向上に積極的に取り組めば、他社に差をつけることにもつながるでしょう。長期的な視点を持ち、PDCAサイクルを回しながら生産性の向上に取り組んでいきましょう。

生産性を高めるためには、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。その一環として、従業員の「ファイナンシャル・ウェルネス」に対する取り組みを検討されてはいかがでしょうか。経済的不安を解消できれば、従業員に長く安心して働いてもらえるようになり、生産性の向上につながる可能性があります。

このような従業員の「お金の悩み」の解消は、株式会社オンアドにお任せください。経験・ノウハウともに豊富な金融相談のプロが、資産形成に関する的確なアドバイスを行います。


この記事を監修した人

株式会社オンアド

株式会社オンアドは野村ホールディングス、千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行の4社により設立された投資助言会社です。「すべての人が最善のアドバイスにより、理想の未来をかたちにする」というビジョンのもと、商品販売を一切行わず、アドバイスに特化した新しい金融サービスをオンライン完結でご提供します。

この記事を監修した人

株式会社オンアド

株式会社オンアドは野村ホールディングス、千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行の4社により設立された投資助言会社です。「すべての人が最善のアドバイスにより、理想の未来をかたちにする」というビジョンのもと、商品販売を一切行わず、アドバイスに特化した新しい金融サービスをオンライン完結でご提供します。