エンゲージメント調査の目的や実施手順|ツールについても解説

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近年、従業員エンゲージメントが注目されています。業績を上げている企業においては、従業員エンゲージメントの向上に注力しているケースは少なくありません。

本記事では、従業員エンゲージメント調査を検討中の人に向けて、メリットや調査方法を解説します。エンゲージメント調査に活用できるツールの選び方についても解説するため、自社の従業員エンゲージメントの向上に役立ててください。

エンゲージメントに注目が集まっている理由

エンゲージメントとは、従業員と企業の「心の結びつき」を指します。以下では、エンゲージメントに注目が集まっている理由を解説します。

価値観の多様化

インターネットの普及とともに、誰でも簡単に様々な情報を得ることが出来る時代になりました。生まれたときからインターネットが身近にあった、いわゆる「デジタルネイティブ世代」の就職も始まっています。世界中から様々な情報を日常的に収集することが普通となった現代において、個人が持つ価値観は多種多様です。働き方や仕事へのモチベーション、やりがいにおいてもさまざまな考え方や価値観を持っています。

画一的な人材マネジメント手法では、こうした多様な人材への対応には限界があります。そこで、人材個々の価値観を重視しつつ、企業への貢献意欲を高めてもらう、エンゲージメントの考え方が、注目されはじめているのです。

人材の流動化

近年では、終身雇用や年功序列といった従来の制度から脱却し、成果主義を採用する企業が増えています。転職に対する抵抗感も少なくなり、従業員が自分に合った労働環境を求める流れも加速しました。

人材の流動化が進んだ結果、幹部候補人材・若手人材の流出という課題を抱える企業が増えています。人材の流出は、ノウハウの喪失や採用コストの増大につながります。長期的な業績向上のため、企業への帰属意識を高めて人材定着に取り組む企業が、エンゲージメントに注目しています。

従業員エンゲージメント調査とは

従業員エンゲージメントは、従業員の企業に対する信頼度を示す概念です。従業員エンゲージメント調査とは、従業員が所属する企業に対して、どの程度信頼感を抱いているかを調査・測定することです。エンゲージメント調査により、企業のもつ課題や従業員の不満・悩みなどを発見できます。

従業員エンゲージメント調査の目的

従業員エンゲージメント調査の目的は、主に2つあります。以下では、それぞれについて詳しく解説します。

従業員の課題や問題の可視化

1つ目は、従業員が抱える課題・問題の可視化です。従業員エンゲージメントを低下させている要因は、経営層や人事からは見えにくいものも多くあります。従業員エンゲージメント調査によって、社内の潜在的な課題・問題を可視化させることで、対策を講じることが可能になります。

施策の検討と効果検証

2つ目の目的は、施策の検討と効果検証です。従業員エンゲージメント調査の分析結果を基に、改善に必要な施策を検討・実施します。また、従業員エンゲージメント調査を継続的に実施することにより、実施した改善施策が期待する効果を発揮しているかを検証できます。離職率の改善に向けて取り組んだ施策があれば、施策の実施後に離職率に関連する調査項目の変化を確認することで、効果や改善点を検証できるでしょう。

従業員エンゲージメント調査を実施するメリット

従業員エンゲージメント調査を行うことで得られるメリットは、主に3つです。以下では、それぞれについて詳しく解説します。

労働生産性が上がる

従業員エンゲージメント調査によって、顕在化した課題を解決すると、労働環境の改善につながります。その結果、従業員のモチベーションや業務に対する主体性の向上が期待できるでしょう。従業員の業務への集中度が高まり、業務効率化がすすむことによって、労働生産性が上がるメリットが得られます。

離職率が低下する

従業員エンゲージメント調査は、従業員が潜在的に抱える離職要因の発見にも役立ちます。従業員の離職につながるさまざまな要素を発見できれば、離職を防ぐための施策も実行できるでしょう。これによって、重要な人材の退職の防止にもつながります。

顧客満足度の向上に役立つ

従業員エンゲージメント調査に基づき、自分が抱えていた課題や問題が発見・改善される経験をした従業員は、自社に対する信頼感が増します。信頼感の増加に伴い、自社を愛する気持ちが生まれ、顧客にもより質の高いサービスを提供するようになるなど、顧客満足度向上につながる貢献をもたらすでしょう。

従業員エンゲージメント調査の実施方法

従業員エンゲージメント調査は、主に「自社で調査」「専門企業へ依頼」の2つの手段があります。ここでは、それぞれの利点を解説します。

自社で調査

従業員エンゲージメント調査は、自社のリソースでも実施できます。社内で全体像を設計し、方法や設問を考案・実施します。自社のリソースで従業員エンゲージメント調査を行うことは、社内の状況に合わせて柔軟な調査ができ、コストを抑えられるというメリットがあります。

専門企業へ依頼

従業員エンゲージメント調査を、専門の企業に依頼する方法もあります。従業員エンゲージメント調査を専門に取り扱う企業に依頼することで、プロの知見を活用した効率のよい調査が可能です。社内に調査のノウハウがなくても実施できる点や、人的・時間的コストを節約できる点がメリットです。

従業員エンゲージメント調査の種類

従業員エンゲージメント調査には、具体的に2つの種類があります。以下では、それぞれの内容を解説します。

パルスサーベイ

パルスサーベイは、従業員にとって答えやすい簡単な設問を、毎週・毎月といった短いスパンで実施する調査方法です。パルスサーベイは、自社の改善に必要なデータをスピーディーに収集したいケースに向いており、従業員の細かな変化をタイムリーに把握できます。

センサスサーベイ

センサスサーベイは、全体にかかわる多項目の調査を、中長期のスパンで実施するやり方です。年に1~2回程度の頻度で実施することが、大体の目安となります。センサスサーベイは、全従業員が対象で、長期的な課題や組織改善の方向性を探りたいときに効果的です。

従業員エンゲージメント調査の指標

従業員エンゲージメント調査で測定すべき指標は、おもに3つです。それぞれを詳しく解説します。

総合指標

総合指標とは、従業員が企業をどのように評価しているかを知る指標のことです。

総合指標の主な設問例は、以下のとおりです。

<設問例>

・友人や知人、家族に自社を勧めたいと思いますか?

・自社や職場環境に、どの程度満足していますか?

・これからも自社で働き続けたいですか?

・気軽に相談できる上司や同僚がいますか?

ワークエンゲージメント指標

ワークエンゲージメント指標は、仕事に対する熱意・やりがいを測るための指標を意味します。

ワークエンゲージメント指標の主な設問例は、以下のとおりです。

<設問例>

・仕事に必要な道具や設備は、十分整っていると感じますか?

・同僚は仕事の質を高める努力をしていると感じますか?

・この仕事は自分に向いている、と感じるときはありますか?

エンゲージメントドライバー指標

エンゲージメントドライバー指標とは、仕事の難易度や満足度を測ることを指します。

エンゲージメントドライバー指標の主な設問例は、以下のとおりです。

<設問例>

・自分の存在や意見が尊重されていると感じますか?

・自分の組織の目標や戦略を理解していますか?

・自分の仕事は自社にとって重要だと感じますか?

・最近、仕事で承認・賞賛されたことはありますか?

従業員エンゲージメント調査の実施手順

ここでは、従業員エンゲージメント調査を実施する手順を、3段階に分けて具体的に解説します。

1.調査目的や方法の策定

ゴールや方向性が曖昧なまま調査しても、価値のある調査結果は手に入りません。そのため、まずは調査を実施する前に、自社がありたい姿やビジョン、調査の目的を策定することが重要です。策定した目的を踏まえて、調査方法や実施スケジュール、調査担当者等も具体的に策定します。

2.アンケートの用意と調査の実行

次に、従業員エンゲージメント調査に使用するフォーマットを用意します。フォーマットとして使用できる手段は、紙媒体の質問票やウェブ上のアンケートフォーム、ツールなど、無料・有料様々なものが利用できます。自社の環境に適した方法を選定してください。フォーマットが完成したら、従業員に回答を依頼します。

3.回答の分析と改善策の実施

従業員エンゲージメント調査に用いたアンケートを回収し、回答結果を分析します。分析結果から発見できた問題点を踏まえ、改善施策を立案・実行しましょう。従業員エンゲージメントは、時間の経過とともに変化します。調査は継続的に実施し、推移を把握し続けることが大切です。

従業員エンゲージメント調査を実施するポイント

以下では、精緻な従業員エンゲージメント調査結果を取得するために、押さえておきたいポイントを3つ解説します。

調査の目的を周知する

従業員から率直な回答を得られなければ、社内に潜む課題を正しく発見できません。従業員が調査の目的を十分に理解したうえで回答してもらえるようにしましょう。従業員エンゲージメント調査の前には、従業員に対して調査の目的を周知し、正しい理解を促します。無記名回答、回答の閲覧制限などの工夫も、率直な回答の収集に効果的です。

回答者の負担を軽減する

従業員は、業務の合間を縫ってエンゲージメント調査に協力することになります。そのため、従業員にとって調査そのものの負担が大きいと、回答率が低下してしまうおそれがあります。従業員の負担を軽減するためには、調査する指標を1つに絞る、設問を減らすなどの工夫が大切です。

フィードバックする

調査後には速やかに集計・分析し、結果を従業員にフィードバックします。協力した調査の結果がわかり、さらに改善策も提示されれば、従業員の自社に対する信頼も増すでしょう。今後継続的に従業員エンゲージメント調査を実施する際にも、積極的に取り組んでもらえる可能性が高まります。

従業員エンゲージメント調査ならツールの活用がおすすめ

従業員エンゲージメント調査は、計画から実行、集計、分析と手間がかかります。自社で独自に実施することも可能ですが、効率的に進めるには、エンゲージメント調査に特化したツールの導入もおすすめです。調査の質が高まり、回答収集や分析もスピーディーに進むでしょう。

h2:エンゲージメントサーベイツールを選ぶポイント

エンゲージメントサーベイツールとは、従業員エンゲージメントを調査するツールのことです。ここでは、自社に適したエンゲージメントサーベイツールを選ぶポイントを、2つ解説します。

機能性

エンゲージメントサーベイツールを選定する際は、候補のツールが、実施したい従業員エンゲージメント調査の内容を網羅しているかを、判断することが重要です。搭載された機能や設問の形式をチェックしましょう。多機能なツールは魅力的ですが、コストも相応にかかります。まずは、必要最低限の機能を搭載した、シンプルなツールを選ぶという選択もよいでしょう。

サポート

初めての従業員エンゲージメント調査では、さまざまな疑問や課題に直面することが考えられます。困ったときに相談できるサポート体制が充実している、エンゲージメントサーベイツールを選びましょう。エンゲージメントサーベイツールには、電話やチャットによる問い合わせのほか、コンサルティングサービスが付帯したツールもあります。

まとめ

従業員の生産性向上や離職の防止に取り組むなら、従業員エンゲージメントの向上が欠かせません。エンゲージメントサーベイなどで従業員の状態を定期的にチェックし、問題の発見と改善策実行に取り組みましょう。 従業員エンゲージメントの向上施策をご検討なら、株式会社オンアドにご相談ください。オンアドは、「従業員のお金の悩み解決」を通じてエンゲージメント向上を支援する「お金の福利厚生サービス」を提供しています。ご関心をお持ちの方は、お気軽にお問合せください。