エンゲージメントの強化を図るための取り組み6選!手順や注意点も解説

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働く人の価値観の変化や多様な働き方が浸透することによって、人材不足や業績の低迷といった課題を抱えている企業は少なくありません。このような課題を解決する施策の1つとして、エンゲージメントの強化が挙げられます。

この記事では、エンゲージメントの概要や強化するメリット、強化に向けた取り組みなどを解説するため、ぜひ参考にしてください。

エンゲージメントとは?

エンゲージメントとは、企業に対する愛着心や信頼感を指す言葉です。もともと「エンゲージメント(engagement)」という言葉には、「約束」や「婚約」「従事」などの意味がありますが、企業やビジネスにおいては、企業と従業員、顧客などとの結びつきや愛着心などを表すケースが一般的です。

ビジネスでよく聞くエンゲージメントには、従業員エンゲージメントだけではなく、顧客エンゲージメントやSNSにおけるエンゲージメントなどがあります。この記事では、企業と従業員の関係に焦点を当てた「従業員エンゲージメント」について解説します。

従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントの違い

従業員エンゲージメントと似た言葉として、ワークエンゲージメントが挙げられます。ワークエンゲージメントとは、「Work」つまり従業員の仕事に対する心理状態を表す言葉です。仕事に対して、「熱意」「没頭」「活力」という3つが満たされているかを測る指標のことを、ワークエンゲージメントと呼びます。

エンゲージメントの強化が求められる背景

エンゲージメントの強化が求められる理由は、従業員の価値観の変化や多様な働き方が浸透しつつあることなどが挙げられます。また、1つの企業に長く勤めるのではなく、副業や転職によって自身の思い描くキャリアを築こうとする人も、増加しているようです。

リモートワークも普及しており、コミュニケーション不足の課題が発生しやすくなるなど、企業と従業員の関係構築は難しくなっています。エンゲージメントが低下しやすい時代ともいえるため、人材不足や生産性低下を招かないためにも、継続的にエンゲージメント向上の施策を打ち、従業員との良好な関係を築くことが重要です。

日本企業のエンゲージメントの現状

ある国内調査機関のレポートによると、2015年以降従業員の企業への信頼度や愛着度のスコア自体は上昇傾向のあるという調査結果が示されています。エンゲージメント強化の施策を打つ企業も増えているだけでなく、従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウドの市場規模も拡大するなど、エンゲージメントへの意識が高まっていることがわかります。

しかし、「責任」や「仕事に対するやりがい」などの満足度は低下傾向にあることも指摘されています。このことから、従業員の仕事に対するモチベーションには依然課題があることがわかります。

エンゲージメントが低い企業の特徴

エンゲージメントが低い企業の特徴としてまず挙げられるのが、従業員の仕事に対するモチベーションが低いことです。人材不足が慢性化している、コミュニケーションが不足していて風通しが悪い、人事評価が適切に行われていないといった要因から、エンゲージメントが低下する傾向にあります。

エンゲージメントを強化することのメリット

エンゲージメントを強化することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、4つのメリットを解説します。

人材流出の防止

従業員のエンゲージメントが向上すると、企業に対する愛着心や信頼感が高まります。そのため、従業員が離職を検討しにくくなり、人材の流出を防ぐ効果が期待できるでしょう。特に優秀な人材の流出は、企業活動に大きな影響を与える可能性が高いため、エンゲージメントを高めて人材の定着率を高めることが大切です。

採用コストの削減

人材が定着するということは、新しい人材を無理に雇用する必要がないということです。新しい人材を雇用するためにかかるコストを削減できるため、より重要なコア業務に資金を回しやすくなるでしょう。たとえば、売上向上のための施策に浮いたコストをあてることで、企業の業績アップにつながる可能性も高めることができます。

生産性の向上

エンゲージメントを向上することで、従業員のモチベーションが向上します。各従業員の業務に対するモチベーションが上がることで、組織としての生産性向上が期待できるでしょう。また、従業員のやる気が上がれば、自社製品やサービスの品質向上にもつながり、結果として会社全体の業績拡大にもつながります。

顧客満足度の向上

エンゲージメントを高めることで、顧客満足度を向上させることもできます。たとえば、従業員のモチベーションがアップして、積極的に商品やサービスの品質向上に取り組めば、顧客に対してより品質の高いサービスを提供できます。その結果、顧客からの評価も高まって、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

エンゲージメントを強化するための3つのステップ

エンゲージメントを強化する際には、手順を把握しておきましょう。ここでは、エンゲージメント強化の3ステップを解説します。

1.現状調査・課題の把握

まずは、現状を調査して自社の課題を把握しましょう。従業員のエンゲージメントを測る際には、アンケート調査やサーベイツールなどを活用しましょう。また、エンゲージメントを調査するだけでなく、調査結果について分析することも重要です。分析することで、自社の課題が把握できます。

2.課題解決のための施策の検討

把握した自社の課題を解決するためには、どのような施策が有効なのかを検討しましょう。エンゲージメントは、施策を実行すればすぐに改善されるものではありません。エンゲージメント強化の施策は継続的に行う必要があるため、自社でかけられるコストをあらかじめ把握しておきましょう。そのうえで、長期的に取り組める施策が何かを検討します。

3.PDCAサイクルの実行

エンゲージメント強化の施策は、実行して終わりではありません。実行後に、きちんと効果測定を行い、分析や検証を行うことが重要です。そのうえで、問題点や改善点があれば、改善に向けた対応を検討しましょう。実行した施策に効果が見られない場合、ほかの施策を検討するなど、状況に応じて柔軟に対応することも大切です。

エンゲージメントを強化するための取り組み

エンゲージメントを強化するためには、どのような施策を行えばよいのでしょうか。ここでは、エンゲージメント強化の取り組みを解説します。

企業のビジョン・文化の浸透

企業のビジョンや理念、戦略、ビジネスの方向性などを従業員に対して浸透させましょう。経営層が企業の理念やビジョンを従業員に共有せずにいると、従業員からの信頼を得ることが難しくなります。経営層から積極的にメッセージを発信して、どのような方向性・考えのもとビジネスを行うのかを、共有することが重要です。

企業のビジョンなどを共有することで、従業員が自分の果たすべき役割を再認識しやすくなるというメリットもあります。

職場環境の改善

職場環境の見直しも必要です。「働きやすさ」は、エンゲージメントを左右する重要な要素です。従業員それぞれが働きやすい環境を整えましょう。たとえば、フレックスタイム制や時短勤務の導入、テレワークへの対応など多様な働き方を導入することが挙げられます。また、福利厚生を充実させることも職場環境の改善につながります。

従業員の適性に合わせた人材配置

人材配置についても見直しましょう。従業員の人材配置が適切でないと成果が出しにくくなり、従業員のモチベーション低下につながるリスクがあります。そのため、従業員1人ひとりのスキルや経験などを把握したうえで、どの部署・どのポジションであれば活躍できるかを検討して配置することが重要です。

評価基準の見直し

人事評価制度の見直しも重要です。評価基準が曖昧だと、従業員が評価に納得できず企業に対しての信頼感が低下する恐れがあります。そのため、明確で客観的な人事評価制度の導入を検討しまししょう。企業理念や方針に沿ったアクションや意見を評価に含めて、待遇にも反映させるなど適切な評価を行うことも検討できるでしょう。

上司と部下のコミュニケーション活性化

上司と部下のコミュニケーションを活性化させることも、エンゲージメント強化には欠かせません。風通しの悪い職場だと、エンゲージメントは低下しがちです。たとえば、1on1ミーティングを実施するのは良い方法です。適切なフィードバックや評価を行うなど、コミュニケーションを密にすることで、部下のモチベーション維持につながります。

成長機会の提供

スキルアップや成長の機会を提供することも重要です。スキルアップにつながらない、成長できるチャンスがない環境だと、企業への愛着心が薄くなってしまい、他社へ転職されてしまう恐れがあります。そのため、資格取得の補助を行う、キャリア研修を行うなど、従業員のスキルアップや成長をサポートするための機会を作りましょう。

エンゲージメントの強化を図る際の注意点

エンゲージメントの強化を図る際には、注意したいポイントがあります。ここでは、2つの注意点を解説します。

調査や施策実行の目的を共有する

アンケート調査やエンゲージメント強化の施策を行うときには、従業員にも必ず共有しておきましょう。アンケートや施策の目的を共有することで、従業員も積極的に協力してくれるようになり、施策の実行や改善などもスムーズに進みやすくなります。目的も説明もなくトップダウン形式で進めると、逆にエンゲージメント低下を招く可能性もあるでしょう。

従来のルールに縛られないようにする

エンゲージメント強化を図る際には、思いきった変革や改善が必要になるケースもあります。たとえば、昔ながらの人事評価や非効率的なルールなどに縛られていると、エンゲージメント強化が上手くいかないケースもあるでしょう。従来のルールに囚われずに、フラットに施策を検討し実行していくことが重要です。

まとめ

エンゲージメントの強化には、人材流出の防止や生産性向上、顧客満足度の向上など多くのメリットがあるため、取り組む企業は増加しています。エンゲージメント強化の施策はさまざまですが、福利厚生の充実もよい方法です。 オンアドは、従業員の「お金の悩み解決」を通じて、従業員のエンゲージメント向上を支援する「お金の福利厚生サービス」を提供しています。エンゲージメント強化の施策をお考えなら、お気軽にご相談ください。


この記事を監修した人

株式会社オンアド

株式会社オンアドは野村ホールディングス、千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行の4社により設立された投資助言会社です。「すべての人が最善のアドバイスにより、理想の未来をかたちにする」というビジョンのもと、商品販売を一切行わず、アドバイスに特化した新しい金融サービスをオンライン完結でご提供します。

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